裏ヤン先生に愛されます
✗それを愛だと言わないで
「…そんな」
あたしは言葉を失った。
「彼女さんは生きてるの…?」
「俺の中ではアイツは死んだ。だけど、そっくりなヤツはいる」
「…記憶喪失だもんね」
「もう…恋愛なんていらないと思ってた」
不意にセンセーがこっちを見てきた。
その哀しい瞳に、涙が溢れた。
「あたしが期限内、幸せにするから」
きゅっと手を握ると、じんわりとぬくもりを感じた。
「あいらは、強いんだな」
「狼さんの方がずっと…。よく堪えたね」
センセーも泣きそうな表情をしていた。
愛した人を失うのは、誰だって辛い。
もう、センセーの中で結婚したのは彼女だけなんだ。
「俺の許嫁がその記憶を失った彼女だ」
「…え!?話が何か違う!!!」
「夜中で会った時に言ったのは、犬賀がいたからだ」