裏ヤン先生に愛されます
センセーに家まで送ってもらった。
玄関を開けると、お兄ちゃんと奏平が出迎えた。
それを見て、安心したのか涙が溢れた。
(ううん…、きっと違う。これは「哀しい」からだ)
センセーがあたしを本心で好きじゃない。
あの心には、別の人がいる。
それはきっと永遠に消えない存在。
あたしとは所詮「仮」で、本当は嘘ばかりのお付き合い。
これがあたしにとって、初めての付き合いなんて嫌だ。
お兄ちゃん達を差し置いて、部屋に入った。
自分の部屋が妙に落ち着いた。
震える手で、ケータイを開いた。
その時の感情に流されていただけかもしれない。
だけどもう限界だった。
センセーと付き合っているのは、幸福でもなんでもない。
彼女の面影にあたしを似せているだけだ。
そんな事、あたしが笑って聞いているのは辛い。