裏ヤン先生に愛されます
「あのね、あたし…。センセーのことが今一番好きなの。
だけどセンセーの結婚相手は、記憶喪失の元カノなんだって。
やっぱ…勝ち目ないよね」
「…それは今から次第じゃね?」
「どういう意味?」
類は呆れ顔で、視線を逸らさずに話を続けた。
「今からセンセーとの距離縮めちゃえば?
まぁ、許嫁の関係は中々回避できない。
だけどそれまで時間があるなら、ホンキの恋愛くらいすれば?
恋って1回だけじゃない。
何回もして、あぁあの人といて一番幸せだった。
そう気づくもんだろ」
「類…、経験者が語るくらい凄いよ」
「…俺も1度ホンキになったんだよ」
哀しげに俯いていた。風が強く、あたしと類の間を通る。
「…類の恋ってどんなんだった?」
「ソイツは、小学生の時に苛められたんだ。
中学校でもそうだった」