恋愛喫茶~大人の恋の在り方~番外編。
「俺、男なんですが…」
そうツッコむが、満更嬉しく無い訳じゃない。
彼女は、美味しそうに作った料理を食べてくれる。
「お義父さんのお料理のファンだけど、雅樹の料理もファンになっちゃいそう」
それを聞いた時は、作って良かったとガッツポーズをしたくなるぐらい嬉しかった。やらなかったけど…
少しは、兄貴より優位に立てたような気がした。
他は、兄貴の方が上だったし…
それからも俺は、父に色々習うようになった。
あんなに最初は、いい顔をしなかったお店も手伝うようになる。
少しでも父の腕を盗みたい。
そうしたら、もっと彼女に喜んでくれるだろうから
そんなやましい気持ちを隠しつつ必死に手伝う。
だけど、意外と喫茶店も悪く無いと思うようになった。
小さいが温かい空間に常連客が楽しそうに会話をしている。
孫の話しをしている老人客も居て…いつも笑っていた。
父が会社を辞めて喫茶店をやりたがる意味が何となく分かるようになる。