僕のイケナイ先生(→『信じられない彼女ー僕のイケナイ先生』から改題)
女王様気取りで話し続ける
イケ先に、媚びへつらう気が
おきなくて。

ったくお世辞にも美味いと
言えないのに。

きっと主任代理なだけじゃない
、秘密の何かが、この女には、
匂っている。

大体、先生間で先生と呼び合っ
て、こんな禄でもない会話に嫌
気がさす。先生を省きたくなる
ような手合いが、目前にいる。

玲緒奈先生がそう思っていると


3人の勘定を払おうとイケ先が、
席を立った。

玲緒奈先生が、「私が」と言って、
立ち上がると。

イケ先は、「下の人には、こう
するのが、私の主義。初めだけ
ですから。待っていてください
」と睨むようにぴしゃりと言う


玲緒奈先生は、「内部調査せよ
」というもう一つの任務を思い
出して。

土産用のイタリアスイーツを、
3人分買って、イケ先に差し出
した。

「これで、相殺という事にして
ください。おごっておごられと
言う事で、願います」と、玲於
緒奈先生1人、先に店を出た。

***********

外の外気が、頬を撫で肌に心地
よい。

郊外のせいか、空気も幾分澄ん
でいて、車の通りが少なく排気
ガスも充満していなかった。

けれども、胃の腑に残るぱさつ
いたパスタにひどく嫌な気分が
引っ掛かっている。

食べた気もしなければ、もう一
度高飛車なイケ先の車に乗る気
も湧いてこない。

まして、あれが問題のワンボッ
クスカーだなんて、この時はま
だ玲緒奈は想像だにしていない


乗っちゃいけない、虫の知らせ
というようなものだろう。

これからどういう対決になるの
か、不透明だけれど。

「C`est la vie セラヴィ」
これも人生と、玲緒奈が呟いた


店内で後に残されたイケ先は、
玲緒奈に手渡されたスイーツの
袋を憎憎しげに見て、「生意気
な女」と去っていく玲緒奈の後
ろ姿に向って、吐き捨てた。

橘先生にもしっかりと聞こえる
ように。

幕開けからそりの合わない、特
採のイケ先容子と特管の玲緒奈
だ。




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