僕のイケナイ先生(→『信じられない彼女ー僕のイケナイ先生』から改題)
横山容子、イケ先は10年と
4ヶ月この立星学園に勤め
ている。

過去10冊の卒業アルバムや
10本の卒業ビデオを観れば
何か手がかりが掴めるかも
知れないと玲緒奈は考えた。

平成11年のビデオがすぐに
見つかった。

この戸棚は、ビデオライブ
ラリーも兼ねている。

横山新任の頃の卒業ビデオには
、うっすらと埃を被っている。

琢磨少年の話では、転校して
から亡くなった少年がいると
言うけれど。

妙に転校を強調する辺り。

在学中に亡くなったのを隠す
ために、転校という二文字を
強く言っていたのではないのか


いなくなってから亡くなった
ことにしたのではないのか。

憶測かもしれないがそう仮説を
立てている。

噂などそんなもので。

過ぎた事件を隠すために、
『故意』に流されることも
ある。

モニターできる図書室内の
大きい部屋に戻った。

スイッチを音にして11年と
書かれたビデオを、モニター
用のデッキに入れる。

誰もがネクタイをして、
きちんと制服を着込んでいる
少年達。

神妙な顔や笑っている顔。

微笑んでいる顔。

A組、B組、C組…D組…

勘が外れたのかひとりだけ
白枠で囲まれているような
逝去した少年は、全体写真
にも見当たらない。

最後のE組の映像。

「あった!」

思わず、玲緒奈先生は小さく
声を上げた。

白枠で囲まれて、笑っている
少年の映像、見いつけった!

高梨啓(たかなしけい)と
書かれている。

やっぱり!と掌で膝を打った。

仮説の証明。

推測の的中。

やはり『在校中』に1人の少年
が亡くなっていた。

それも横山容子が着任の教師と
して着任した1年目の年に。

見事に勘は当ったけれど。

何故この笑顔の少年が亡くなっ
たのかは分からない。

何が起きたのだろう。

名門の立星学園の栄誉のために
、隠されている。

1人の少年の永眠ー


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