愛してるの育て方
「どうして瀬戸くんと付き合ったの?」

「うーん、やっぱり顔かな。学年で一番かっこいいじゃん?」

「だよねだよねー。
中身は伴ってなくて子供っぽいけど、顔だけはいいよね」

「あたしとあいつが並ぶと、みんな一目置いてくれるでしょ? いわばアクセみたいなもんよ。
一緒にいてもガチガチで、全然楽しくないけどね」

廊下まで聞こえてくる、鈴木とその友達の声。
いつもの鈴木からは想像出来ないような言葉に、俺はショックを受けた。


確かに緊張して上手く話せないし、性格も大人っぽいとは言えない。

でも、それをすべて含んだ俺を好きでいてくれてると思ってた。

すべてただの勘違いだ。



その日は教室に入る勇気なんて出せず、忘れ物を残したまま帰った。

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