愛してるの育て方
「……私の知り合いですか?」

「同じクラスの瀬戸だよ」

「ああ。どおりで見たことある顔だと思いました」

俺は麻木に名前すら把握されていなかったらしい。少しショック。

「麻木さんは何してるの?」

「とくに何も」

とりあえず麻木さんに近付いて傘に入れてやる。
麻木さんはふらっと、俺から離れて犬の方へ行った。
俺の行動の意味は皆無。

「あの…申し訳ないんですけど、餌が濡れないようにしておいて欲しいんですが」

麻木に頼まれて犬に近付く。
彼女とドッグフードを傘に入れると当然ながら俺は雨に晒されるわけだ。
まぁ別にいいけどね。

「ありがとうございます」

麻木はお礼を言ってドッグフードを皿に移した。


やっぱり雨に濡れると寒い。
麻木はよく平気な顔でいれるもんだ。

< 16 / 46 >

この作品をシェア

pagetop