愛してるの育て方
「麻木さんの電車ってどっち?」
「一番乗り場の方です」
「それなら駅でお別れだね」
駅に向かって歩いていた。
ちなみに俺の家は麻木さんと逆方向みたいだ。
「ご迷惑おかけしました」
「いいよ全然!」
いつもよりもゆっくり歩いていたのに、もう駅に着いてしまった。
麻木さんといるとなんか新鮮で楽しい。
だからお別れは少し残念だな。
「そんな濡れた状態で電車なんだね」
「鞄が濡れたのでタオルも使えなくなりましたし」
「あ、そうだ」
俺は自分の鞄を探る。
中にあったタオルと体操服を出した。