愛してるの育て方
「こいつ麻木の写真撮ってんだよ」

橋本の馬鹿!
なに言っちゃってんの!?

ごまかすにも既に時は遅いようで、ミヤちゃんの目が俺に向いた。

「…私の写真? 何が楽しいんですか?」

「ミヤちゃんをいつでも近くに感じたくて」

「…よくわかりませんが消去しといてください。写真はあんまり好きじゃないので」

消去するわけないけど何度も頷いた。
おとがめなしみたいで嬉しい。

「それよりも、今日勉強するんですよね?」

「え?」

「瀬戸くんが、今日の数学でわからないところがあるから教えてほしいって頼んできたんじゃないですか。
しないなら帰りますけど」

「あ! やるやる!」

だからわざわざ橋本のいるこの教室まで来てくれたのか。

今日の数学の時間にミヤちゃんに頼んだ。
実際はわからないことを知りたいんじゃなくて、ミヤちゃんと一緒に放課後を過ごしたかっただけ。

渋々ではあったけど、なんとか了承してくれた。

……まさか、俺自身がそれを忘れるなんて。

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