愛してるの育て方
「早苗の気持ちも考えなさいよ!」

そう怒鳴る友人A。
でも鈴木は俺のこと、好きじゃないんじゃん。
君も知ってるでしょ? 一緒に笑ってたんだから。

「こんな可愛い子と付き合えるなんてそうそうないことなのよ!? わかってる!?」

「可愛いだとかどうでもいいよ。
俺は鈴木よりも麻木さんの方が大切なの。だから別れて」

俺がそう言うと、鈴木は顔を上げた。
頬を伝う涙に少しだけ心が痛む。

「……わかった。別れる」

鈴木はそう言って、走り去った。
鈴木の友人もその後を追う。

女子を泣かせてしまったという事実はあるものの、これでよかったんだろうとホッと息をついた。

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