愛してるの育て方
「へぇ。瀬戸が勉強なんて、珍しいこともあるもんだな」

「俺だってたまには真面目にしますぅ」

「ごめん雄一! 遅くなった!」

廊下を走り、息を切らせている女子が教室にやって来た。

ミヤちゃんと俺の友人であり橋本の幼なじみのそいつは藤岡涼夏。
お人好しでなんでもそつなくこなす。ちなみに学力は学年一位。

「…あれ? 雅と瀬戸もいるの?」

「今から勉強するんだってよ」

「え、瀬戸が勉強? 死亡フラグ?」

「死なないよ」

二人揃って失礼な。

「そもそも瀬戸は麻木といたいだけだろ。いつもと一緒じゃん」

「ちょ、なんでそういうこと言うのかな!」

「瀬戸くん、帰らせてもらっていいですか」

「あ、ミヤちゃん帰らないで! 真面目に勉強するから!」

焦る俺を見て藤岡と橋本は笑う。この性悪どもめ。

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