ゾルダート―セルジュの憂鬱(2)

オレの語尾を返せ〜!

拍手をしながら、レイ先輩がドアの陰から出てきてさ〜。


ワナかよぅ!


「いや、今のは釣られて言っただけでぇ……」


「はい、また小文字ね。パウル、お持ち帰りしていいわよ」


期待のこもった視線を送ってきたパウルをぶん殴ってから(ヤツは悶えていたが、どこか恍惚としていたような〜)、オレは叫んだ〜。


「やめてくださいぃー!」


オレは覚悟を決めた〜。


言ってみようぅ。まずはパウルをお手本に……ってヤツは悶えたままだなぁ。


教師はレイ先輩になった〜。



「言ってみて。『オレはセルジュだぞ』」


「オレは……オレは……」


緊張して声が上ずっちまうぅ……。レイ先輩は、完全にオレで遊んでやがるぅ……。


「オレは……セルジュ、……だぞ〜」


「ぷっ」


ついにレイ先輩が吹き出した〜!


「うふふ……キャハハ!何、その語尾!記号化してるわ!」


「うむ。間抜けだ」


だから、なんで小文字とか記号とか分かるんだよ〜!プルプルしていたはずのパウルまで、笑ってやがる〜。


「もっと言ってみて、もっと!」

オレは新しい語尾を直そうと、懸命に練習したけど、いつの間にか記号になってしまったんだな〜。


「どうしてくれるんですか〜、この語尾〜!」


二人は大爆笑しているが、記号ならいいのかよ〜!



オレは悲痛な叫びを上げた〜。





オレは語尾がうっとうしいらしい〜。しかし、それなりにポリシーはあったんだがな〜。今となっては小文字の語尾が懐かしいぜ〜。


ちょっと語尾が上がってしまうから、まるで、行きつけのファストフード店の店員みたいで気恥ずかしいったらありゃしないぜ〜!


オレの語尾を返せ〜!



(了)
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