不器用な彼の愛し方《番外編完結》

「...ごめんなさい」


「それは何に対して謝ってんだ」

「先に帰ったこと.....」





私が斗真の顔を見れず下を向いて
そう言う。そして聞こえてきたのはため息だった。




「...違う。お前さ、また倒れたらどうすんの?完全に良くなったわけじゃねぇんだったら一人で帰ったりするな。危ないだろ」



ーーーーどうしよう。


ますます斗真を見れない。



なんで、なんでこんなに優しいの。

なんでこんなに温かいの。



斗真の優しさが、どうしようもなく嬉しい。

そして、そう感じている自分がいて怖い。



人に心配かけるのは嫌だけど、
心配してくれる人がいるって、こんな感じなんだ。



....初めてだ。




初めてだから、どうしていいかわからない。



心配してくれたお礼を言った方がいいの?

心配かけてしまったことを謝る方がいいの?





あぁ、もう。


不器用すぎる自分が嫌になる。



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