不器用な彼の愛し方《番外編完結》
「送るから帰るぞ」
結局、何も言えなかった。
お礼も謝ることも出来ないなんて、人として終わってると思う。
はぁ....。
無言で斗真の隣でとぼとぼと歩く。
何か話した方がいいの?
そう思っていた時だった。
「お前さ」
斗真が少し歩くペースを落とし話しかけてきた。
私も歩くペースを落とし、斗真を見る。
「なに?」
「...あいつとどんな関係なわけ?」
不思議そうな顔でも、怪訝そうな顔をするわけでもなく。
ただただ無表情な斗真。
「あいつって?」
そんなの聞かなくても大体はわかるけれど。
「前、裏庭で会った奴」
そこで確信した。
...間違いなく悠のことだ。
「彼氏、だよ」
「んなこと知ってる」
「じゃあ何が聞きたいの?」
「お前さ、あいつのこと好きじゃないだろ?」
やっぱり無表情で斗真が言った。
思わず息を呑む。