不器用な彼の愛し方《番外編完結》
「あぁ、そうだな。....好きなふりしてるんだもんな」
ぎゅっと握りしめた私の拳を見ながら、斗真が言う。
....やめてよ。
もう、これ以上入り込んでこないで。
「違う。...私は悠が好き。好きなの!!」
まるで子供のように声をあげる。
悠に殴られる。蹴られる。首をしめられる。
もう嫌なの。
悠を怒らせるのは嫌なの。
だから、彼女でいなくちゃ。
演じなきゃいけないの。
「苦しいんじゃねぇの?」
ほら、こうやって急に優しい顔になる。
そして私は甘えたくなる。
吐き出したくなる。
斗真の優しさに溺れてしまいたくなる。