不器用な彼の愛し方《番外編完結》
偽りの笑顔
生暖かい風が吹き体を包み込んでいく。
何処かで鳴き始めたセミが、夏が来るのだと知らせてくれる。
「今日、斎藤と話してたよな?」
何時ものごとく、呼び出されたのは屋上。
そして何時ものごとく、発せられる言葉。
「俺がいるのに何で斎藤と話した?」
目の前にいる彼は、私にジリジリと近寄ってくる。
割と整った顔が、近づいてきて、私は一歩一歩後ろに下がる。
私、返事してないのに、勝手に話を進められ、ため息を着く。