不器用な彼の愛し方《番外編完結》
「ちょっと、まだ出来てないの?
早くしてちょうだい。
この役立たずが」
お母さんが、わざわざキッチンに来て文句を言ってくる。
だったら自分で作れば。
そう言いたいのをこらえて
「はい」
とだけ返事をする。
「ほんっと可愛くない子。
それに比べてお姉ちゃんは
可愛くていい子ねぇ」
何回聞いたかわからないその台詞。
もう聞き慣れてしまって
怒りさえも出てこない。
まあ思うことがあれば
私は確実にお姉ちゃんより
いい子だということ。