不器用な彼の愛し方《番外編完結》
そっと斗真と繋いでいた手を離そうとした。
離さなくちゃいけない…のは分かってるけれど、離したくない。そんな私欲が心を満たしてしまっていて離すに離せない。
私より随分と大きいその手を見つめて、ギュッと握った。
暖かくて優しくて安心する。
「…ずっとこのままでいたい、な」
ポツリと欲を吐き出してみた。
「…じゃあこのままでいたらいい」
急に声がして、驚いて息を呑んだ。
誰の声か、なんて予想するまでもない。
この部屋には私とあと一人…この手の主しかいないのだから。