不器用な彼の愛し方《番外編完結》
番外編
〜同居編〜




「一緒に住もう」




そう言われたのは私が大学をあと一年で卒業する、という頃だった。



六年大学に通わなければいけない私に対し
斗真は四年で大学を出られたからもう大手企業に就職し一人暮らしをしていて。


結婚前提で同居したいという斗真の言葉に
私はすぐに頷いた。




それから約半年がたった今も
とても幸せな毎日を送っている。




「斗真、朝だよ」




隣ですやすやと眠る斗真をそっと起こす。




あまりにも綺麗に、そして気持ちよさそうに
寝るものだから起こすのが申し訳なくなる。



でも起こさなきゃ斗真は仕事に遅れちゃうし
私も大学に遅れてしまう。



だからもう一度、今度は強めに斗真を起こす。






「起きて、遅刻しちゃうよ」



ゆさゆさと斗真を揺らすと



「……、おはよう…」





これまた漆黒の綺麗な瞳が私を捉える。





「おはよう斗真」


「……もう朝か」


「そうだよ。起きよ?」


「…あぁ、そうだな」







ご飯作らなくちゃ、そう思い身体を起こそうとした瞬間





「………でも、もう少しぐらいいいだろ」


「ちょっ、」






ぐいっと引っ張られ斗真の腕の中へ逆戻りしてしまった。




「まだ眠いの?」


「少し、な」







確かに毎日遅くまで仕事してるもんね。



疲れちゃってるよね。



まだ少しなら余裕あるし…







「じゃあ少しなら寝てていいよ?
私ご飯作ってくるから」






斗真にはまだ寝ててもらおう
そう思って言ったのに




「………美優花がいないと意味ねぇんだよ」









その言葉に私も起きる気をなくしてしまった。








「……糖度高い」




私がポツリと落とした呟きに
斗真は面白そうに笑った。








「……抱きしめられると寝ちゃいそうなんだけど」




「じゃあ寝ればいい」




「斗真は私を甘やかせすぎ」




「仕方ねぇよ。好きなやつに優しくしたいと思うのは普通だろ」





「……やっぱり糖度高い…」










このあと大慌てで支度をしたのは言うまでもない。
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