不器用な彼の愛し方《番外編完結》
〜大学編〜



「……え」



いつものように講義を受けて
いつものようにお昼を食べて
いつものように帰宅する時間になって



そしていつもとは違うことが一つ
目の前で起こっている。



私の視線の先には人集りが。




入り口に溜まっているのほとんどは女子で。






「名前なんていうんですかぁ〜?」


「かっこいいですねぇ〜」


「誰か待ってるのぉ?兄弟〜?」





……。




携帯を取り出し、数分前に受診したメールを開く。






『早めに仕事終わったから迎え行く』




……あの女子達の真ん中にいるの絶対斗真だ。


確信しかない。




はぁっとため息をつき人集りの原因のもとへ歩く。



一点を見つめもう一度ため息をついた。






「本当にイケメンですね!
私、一目惚れしちゃったかもです…!」





ああ、もう。

さり気なく斗真に触る女子に
ぷつぷつと怒りがこみ上げてくる。


触らないでよ、やめてよ。



…確かにスーツ姿の斗真の格好良さは飛び抜けているけども。


すごくすごく、かっこいいけども!





その時、斗真と目があった。







「……やっと来た」








今まで一言も喋らなかった斗真が
初めて口を開き、周りの女子がざわつく。




そして今度の注目は斗真から私へと変わった。




…ああ、もう本当に。



注目されるの嫌いなのに。



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