不器用な彼の愛し方《番外編完結》
...それより!
思わず止めていた足を動かし、斗真の元へと向かう。
「....起きてください」
気持ち良さそうに寝ている斗真に向かって思いっきり叫ぶ。
....引っ叩きたい気持ちを抑えて。
でも、斗真は起きない。
ピクリともしない。
「起きて下さい!」
何回も起こすけれど、全く起きる気配がない。
......もうさ、叩いていい?
いいよね?
そう自己解決し、思いっきり手を振り上げる。
そして斗真の頬に一直線に振り落とす。
ーーーーバチンッ
..本来なら、そういう音がするはずなのに、その音がする事はなかった。
なぜなら
「凶暴な女だな」
斗真が私の腕をしっかりと握っていたから。