不器用な彼の愛し方《番外編完結》
「いい加減、離して」
だんだん、冷静を取り戻していった私は斗真に冷たく言い放った。
暫くすると、そっと斗真が離れて行った。
まるで何事もなかったかのように。
ーーーー私はこんなに焦ったのに、斗真は余裕か。
癪に障るよね。
でも、だったら私も何事もなかったかのように接するだけだ。
本当は聞きたいこと、問い詰めたいこと沢山あるけれど、これ以上ややこしくしたらめんどくさそう。
「じゃあ案内します」
顔の熱がひいたことを確認して、斗真に言う。
ベンチに座ったままの斗真は、チラッと私を見て
「....あぁ」
無愛想に返事をしてきた。
ーーーーはぁ。
心の中でため息をつく。
何で私がこんなことしなくちゃならないの。
まあ、今更グタグタ言っても仕方ないけど。