不器用な彼の愛し方《番外編完結》
「次の方どうぞ」
私が言うと、真っ先に女の人がレジに来た。
チラリと男の子を見ると、下唇を噛み涙を堪えていた。
ーーーー何度も言うけど面倒な事は嫌い。
でも.......。
よく頑張ったね。
きっと将来強い子になれるよ。
「お客様、順番をお守り下さい」
優しい声で、女の人に言うと
「は?何なのあなた。私は急いでるの」
刺々しい言葉が返ってきた。
「ですが、順番はお守り下さい」
お客様が第一。
わかってる。
「うるさい小娘ね。早く会計してちょうだい!」
キンキンと叫ぶ女の人。
ーーーお客様、少なくてよかった。
「お客様が急がれている事はわかりました。ですが先に並んでいたのは
あの小学生のお客様です」
「小学生でしょ?!大人の私の方が偉いんだからこれくらいいいでしょ!」
「お客様、大人だからえらいとか
子供は偉くないとかそういうのは関係ないと思います。
寧ろ、必死に涙を堪えて我慢している小学生のお客様の方がよほど偉いと思いますが」
そして、続けて言う。
「ルールを守るという小学生でも
出来ることを大人が守らなくてどうするんですか。
子供のお手本となってこそ、立派な大人だと思います」