不器用な彼の愛し方《番外編完結》
「....っな、によ!こんな所二度と来ないわ!」
女の人は鬼の血相でそう言い、持っていた商品を投げつけコンビニを出て行ってしまった。
.....商品が。
しかも、お客様を怒らせてしまった。
ーーーー今日限りでくびかもしれない。
「大丈夫か?」
さっきとは打って変わったほど優しい声で斗真が私を見てくる。
.....さっきのどす黒いオーラは何だったの。
「だ、大丈夫」
斗真に返事をしながら、急いで斗真の横にいる男の子の元へ向かう。
女の人が怖かったのか、それとも斗真が怖かったのかはわからないけれど、男の子は放心状態になっている。
青ざめた顔でぽかんと。
「君、大丈夫?」
男の子の前に行き、しゃがみ込み男の子に目線を合わせる。
私の声で、ハッと我に返った様子。
「お、ねえちゃん....」
私を見て、うるうると目に涙をためていく男の子。
偉いよ。
ここまで泣かないで、大人にちゃんと自分の意見を言って。
「...頑張ったね」
頭を撫でてあげると、プツンと糸が切れたように泣き出した男の子。
「....うわぁぁ、っ」
私にしがみつき、声をあげ泣いている。
弟がいたらこんな感じだったのかな。なんて。