不器用な彼の愛し方《番外編完結》


自転車の鍵を鞄から取り出して、鍵穴にさす。

サドルを持ち、自転車を引きずりながら斗真に話しかける。



「....後ろ乗る?」

荷台をぽんぽんと叩きながら言うと


「女の後ろに乗れるわけねぇだろ」


あっさり断られた。


そして、斗真が私の手からサドルを奪い、

「俺が前乗るから、お前は後ろ」

さっき私がやったように、荷台をぽんぽんと叩きながら言う。



それが少し可笑しくて、思わず笑ってしまった。


「なに笑ってんだよ。早く乗れ」

「じゃあお願いします」



おずおずと、荷台に乗る。

二人乗りなんていつぶりだろう。

ていうか、どこ持てばいいんだっけ?


さすがに斗真に抱きつくわけにはいかないし.....。

荷台でいいか。
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