不器用な彼の愛し方《番外編完結》
「....っおい!何してんだ!」
「......え?」
気がつくと、斗真が私の左腕を掴んで焦ったように自転車を止めている。
なぜか斗真のお腹に巻きついていた私の手が、ブランとしている。
....無意識に離してしまったみたいだ。
斗真に掴まれている左腕に視線をやると.....あれ、私....
「お前、震えてる」
.....震えてる。
怖い。
怖い。
心は悠への恐怖と不安で押しつぶされそう。
だけど、斗真に弱みなんかみせられない。
「震えてなんかない」
震えてるのは一目瞭然なのに、そんな馬鹿な嘘をつく私。
震えをとめようと深呼吸をしてみるけれど、とまらない。
....弱い自分に腹が立つ。
何も行動できない自分に腹が立つ。