不器用な彼の愛し方《番外編完結》
「何に悩んでんだ」
酷く優しい声を出す斗真に全てを話したくなる。
誰にも言えなかった事、全てを。
斗真には全てを包み込んでくれる不思議な力がある。
.....でも、人に自分の悩みや弱みを話すのって容易い事じゃない。
少なくとも今の私には無理だ。
それに、斗真だったら私が悠の事を話せばきっと、何か行動を起こしてくれる。
でも、それに頼りたくなんてない。
私は弱いけど、人に迷惑をかけるくらいなら耐える方がましだ。
「悩んでなんかないよ。
ちょっとボーっとしてただけ」
へらへらと笑って見せれば、険しい顔で私を見てくる斗真。
「そんな嘘、俺に通じるとでも思ってんのか」
.....やめてよ。
そういうのいらない。
優しさなんていらない。
優しくされると苦しくなるから。
やめてよ。
「嘘じゃないよ。本当だから。
それより早く帰ろう」
無理矢理、話を変える。
斗真は納得していない様子だったけれど、私が強引に押しくるめ無事に家までついた。