不器用な彼の愛し方《番外編完結》
私の手をぎゅっと握りしめながら、ベットに顔をつけ眠っているその人。
漆黒の髪の毛が、窓から入り込んでくる風でゆらゆらと揺れている。
その髪は、よく見ているもので。
一瞬にして誰かわかってしまった。
「......ゆ、う?」
私がそっと名前を呼ぶと、それに反応した悠が、ゆっくりと体を起こす。
体を起こした悠と目が合う。
悠は私を見るなり、目を見開き私をぎゅっと抱きしめてきた。
「.....美優花っ、よかった」
小さな声で、でも私を抱きしめる腕の力は強くて。
私を抱きしめる悠の手は、少し震えていた。
「....悠、心配かけてごめんね」
私は、悠の背中に手を回すことはしない。
ーーーーできない、と言った方が正しいのかもしれないけれど。