我妻教育2
ロビーを歩いている人が、啓志郎くんを見た。

スーツ姿の男の人。はたと立ち止まり、ガン見してくる。


啓志郎くんのことを知ってる風で、こちらに近づいて来ようとしてる気配を感じた。


啓志郎くんの知り合い?エリートっぽいからパーティーの参加者かも。


「啓志郎くん、あの人、知り合…」


聞こうとしたとき、啓志郎くんの腕があたしの身体に回された。


一瞬、抱きしめられたような錯覚がした。


「行こう」

あたしの腰を押し、外へ促す。


「え、いいの?」

押されてあたしも歩く。

あの人、啓志郎くんと挨拶したそうだけど…。
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