我妻教育2
「この事務所は、未礼がいなければ回らないわ。

昨日のパーティーのあと、金峰下食品の方とお会いして、貴女が作ってくれた資料、高く評価していただけたわ。

貴女がいないと困るのよ。これからも、ここで働いて欲しいと思っているの。駄目かしら?」

マダムはあたしの顔をうかがい見ながら、懇願するように両手を合わせた。


スッキリとはいかないけど、マダムが頭を下げてくれた。

プライドの高いマダムが。

だから、あたしはうなずいた。

「分かりました。こちらこそよろしくお願いします」


今の家の状況で仕事を失うことは怖い。


“あたしが必要”そう言ってもらえたことも嬉しかったし。
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