我妻教育2
ジャスは、あたしの二の腕を茶化すように肘でつんつんしながら話続けた。


「で、そのあと戻ってきた御曹司がマダムに挨拶に来たんだよね♪未礼ちゃんをよろしくって。

家族ぐるみで付き合いがあるんだって?そんなに仲良いなんて聞いてないし!さっすが、曲がりなりにもお嬢様!」


…ああ、そうか。そういうこと…。


ジャスのからかいに乗っかる余裕なんてない。


「…だからですか?」

あたしはマダムを見据えた。


だから謝ってきたの?

レシピを盗んだことを少しでも悪いと思ったから謝ってくれたんじゃなくて。

あたしが啓志郎くんと知り合いだと知ったから。


あたしを利用するために。
< 122 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop