我妻教育2
「会う機会を作ってくれるだけで良いわ。あとは私が上手くやるから、ね?」


あたしの意見なんて聞き入れてはもらえない。


あたしが黙っていると、マダムは口調を強めた。

「未礼。貴女は、料理研究家として成功したいからここにいるんでしょう?」


目を見開いてマダムを見る。

図星。あたしの反応に、マダムはニヤリと微笑した。


「ここにいれば悪いようにはしないわ。この私なら、貴女を料理研究家として世に送り出してあげることが出来るんだから」


信じたくない。でもこれが真実。


身体中の力が抜けるくらい、落胆した。

マダムにも、自分自身にも。
< 126 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop