我妻教育2
社会人としてはまだまだ未熟なあたしだけど。

マダムのような有名な料理研究家の第一助手にしてもらえたのは、多少なりとも仕事ぶりを認めて貰えてたからだと思っていた。


でも違ったんだ。


人脈が尽きた時点で、あたしは不要になる。


泣きたい。

悔しい。

泣きたい。

悔しい。


でも、泣くもんか。

悔しいから。


早足で歩いたから、あっと言う間に駅に着いたはいいけど、気が重い。

荷物も重いし、足も重くて立ち止まる。


改札を通る人たちの流れの中で、あたし一人だけ時が止まったみたい。


…家にも帰りたくない。
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