我妻教育2
聞き覚えのない男の人の声が、あたしの名を呼んだ。


振り返りまじまじ眺め、首をひねる。


そこに立っていたのは、喪に服した黒いスーツを着て、手には花と水桶を持った一人の男の人。


…誰?

一般人離れした、なんか、モデルみたいな美形…。


ポカンとしたあたしに構わず歩み寄り、その人は目を細めた。


「久し振りだな」


真っ直ぐあたしを見る切れ長の瞳。

ハッとして息を飲んだ。


「――まさか、啓志郎くん?!!」


「ああ。まさか、ここで会うとはな」


「うそォーー!!ホントに?!」


背高っ!声低っ!
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