我妻教育2
「それより、これ」

包みに入れたマフラーを取ろうと手をカバンの中に入れた瞬間、


「啓志郎さまぁ~~~!!」


カフェテリアとはいえ、大手企業の一階には不釣り合いな高い声が響き渡った。


マイラ姫だ。金峰下コンツェルンのお嬢様の。


ハートのオーラを撒き散らしながら、大きく手を振ってこちらに小走りでやってくる。


薄いピンクのミニワンピにミンクの毛皮のジャケット。ハイヒールのロングブーツ。内巻きにしたミディアムヘアが揺れて、本当に可愛い。


昨日のパーティーで、婚約したって噂聞いたけど。

日常的にこんなところまで会いに来るくらいの公認の仲ってことか。
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