我妻教育2
「マイラ」

あからさまに不満げな顔をしたマイラ姫に、啓志郎くんは、だだっ子をたしなめるお兄ちゃんのような口調で名前を呼んだ。


「…はぁーい」

マイラ姫は唇を尖らせてから、あたしの顔をじーーっと威嚇するように見てくる。


そんな気にしなくても、世の中に貴女以上の女の子なんていないよ?


「あ、あたしの用はすぐに済みますので…」

なぜかかしこまりながら、再度、カバンに手を入れ、マフラーを探る。


「いいから、マイラ、外してくれ」


「はぁい。じゃあ、啓志郎さま。あたしあっちで待ってるね」
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