我妻教育2
マイラ姫は、少し離れたテーブル席に座り、お化粧直しを始めたものの、ミラー越しにあからさまにこっちを見てる。


見張られている。気になるな…。


啓志郎くんは、あきれた様子で息を吐いた。

マイラ姫のこと、もて余してる。そんな感じ。


「済まぬ。場所を変えよう」


「ううん、大丈夫。すぐ済むから。これ、ありがとう」


マフラーを差し出すと、啓志郎くんは、マフラーにすぐ手を伸ばさずにあたしの顔を見つめ、


「本当に、どうした?いつもと様子が違う。何かあったのか?」


心配げな啓志郎くんの顔からすぐに目をそらした。


その気遣い、今はいらない。


「何もないよ。帰るね」
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