我妻教育2
無理やり笑顔を作って、マフラーを押しつけるようにして返して、荷物とコートをつかんで、早足でカフェテリアを出る。


モヤモヤしてる。

後悔。来るんじゃなかったなぁ…。


「未礼!」

案の定、啓志郎くんは追ってきたけど、


「あたしのことは良いから」

無愛想に言って、コートを手に持ったまま外に出た。

啓志郎くんが追ってくるから立ち止まって着ることが出来ないから。


啓志郎くんの手が伸びてあたしの肩をつかむ。


「仕事で何かあったのか?」


その瞬間、押さえていた感情が、カッと沸き上がった。

立ち止まり振り返って、声を上げた。


「仕事、仕事って、仕事なんてないんだってば!」
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