我妻教育2
「あたしが、松葉グループにコネ持ってるって思われたじゃない!コネなんていらない!

自分の仕事は自分だけの力でしたかったの!一人で頑張ってたの!」


はっと悟ったような動揺のあと、啓志郎くんは表情を曇らせた。

「…済まぬ、そんなつもりではなかった」


「啓志郎くんが、そんなつもりじゃなくっても、こんな大きな会社の御曹司なんだから!」


啓志郎くんの後ろにそびえ建つビルを指差す。

マダムじゃなくても誰でも松葉グループと繋がりが持てるって浮かれるに決まってる。


啓志郎くんは少し考え込み、

「申し訳ない。ほんの少し挨拶をしただけのつもりだったが、…そうだな。軽率であった。済まない」

申し訳なさげに目を伏せた。
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