我妻教育2
わざわざこんなこと言いに来たわけじゃない。

啓志郎くんは悪くない。

こんなのただの八つ当たり。



お母さんが居なくなってから、ずっと家に居場所がなかった。

お見合いばっかりさせられたし。


だからこそ、そんな家に頼ろうなんて思ってない。

早く自立したかった。

家にも、権力にも頼らない。一人の力で…。


――でも、現状はどう?

こんな家でもなくなってしまうかもしれないし、生き甲斐にしていた仕事も失ってしまった。


どうして?


感情的になった影響か、涙が止まらなくなってしまった。
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