我妻教育2
「気軽な感じで来て貰えたらとおっしゃってくれてるんだが…」

機嫌を損ねないように慎重な口調でお伺いをたててくる。


あたしの知らないところでどんどん話が進んでいる。

強引にお見合いさせるときの手口だ。


断っても、あたしの意見なんて、聞き入れてもらえない。初めから分かってたことだけど。


「…わかった」

気は乗らないけど…。


あからさまに父の顔がパアッと明るくなった。

「本当か?!」


「…行くだけだからね」


「未礼、ありがとう!!さっそく返事をしておくよ!!」


嬉しそうに洗面所をあとにした父の姿が見えなくなってから、ため息をついた。
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