我妻教育2
あのビーフシチューは亡くなったお母さんが、あたしのために作ってくれた思い出のレシピだもん。

そう、懐かしい。

栄養と愛情がこもった幸せな味…


「じゃあ、私もう行くわ。じゃあね」


「ありがとうございました!」


頭を下げて見送ってから、しばらくその場で一人ぼんやりした。


昨日のクリスマスまであんなにキラキラしていた街の景色は、すっかり年末モードに突入して厳かな雰囲気になった。


ていうか、仕事探さないと…。年の瀬に無職って、寒さも相まって辛すぎる。


駅の中に設置されている無料の求人雑誌を手に取り深くため息をついた。

あたし、何ができる…?


「あれ!?お嬢ちゃん?」
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