我妻教育2
勇は頭を下げたまま首を横に振り、悔しそうに声を絞り出した。

「経営の出来ない情けない父でも、僕にとっては血の繋がった父親だから…」

下げた頭を上げることなく、さらに深く頭を下げてきた。


お見合い断るつもりだって言い出せなかった。


だって、まさか、あのプライドの高い勇が。

あたしが見る限り、父に反抗している勇が。

父のために、家族のために、あたしに頭を下げてくるなんて…。


自分の希望だけじゃ切り捨てられない、振り払えないしがらみがある。

勇は、この家で唯一半分血の繋がった弟だから。
< 172 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop