我妻教育2
あたしがピンときたのが分かったのか、啓志郎くんはそのまま話を続ける。

「根も葉もない戯れ言だ」


「え~、でも、デートしたって見たよォ?」

茶化しつつ、あたしはキレイに完食された食器をシンクへ運ぶ。


啓志郎くんは、真剣な顔のままキッチンについてくる。

「確かに、出かけはしたが、デートなどではない」


「わざわざそれを言いに来たの?婚約したって聞いたけど?」


「マイラとは、婚約などしておらぬ」


スポンジに洗剤を落とす。視線の端で、啓志郎くんがこっちを見てるのが分かる。


「家が決めても、私は承知しておらぬ」


「婚約の話が出てるってのは本当なんだね」
< 179 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop