我妻教育2
一呼吸置いてから、啓志郎くんはより真面目な顔つきであたしに向き合った。


「だが、あくまでこれは、ビジネスの話だ。

そなたまで買うつもりはない」


「え?」


目を見開いて聞き返す。

え?今、何て言っ……


啓志郎くんは、一歩大きくグイッと近づいた。


考える間もなく、視界が啓志郎くんの黒いスーツに遮られたと思ったら、それはもう一瞬の出来事だった。
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