我妻教育2
「ああ。変わりない」

「そっかぁ。良かった」

「良ければどうだ?優留が置いていったものだが」

と、プリンをあたしの前に置いてくれた。

「ありがとう!啓志郎くん晩ごはんコンビニだったの?」

「ああ」

「作ってもらわないの?家政婦さんは?」


「家族は皆それぞれ海外だ。この家は、定期的に家の手入れをする使用人が出入りしているだけで、家政婦も今はこの家には常駐しておらぬ」

昔のように、慣れた手つきで湯飲みにお茶を入れてくれた。


「そっか。あ、いただきます」

アラレが入ったほうじ茶の匂い。和室の畳の匂い。懐かしい。

ゆっくりお茶をすする。

あたしの袖からのぞく腕時計に啓志郎くんの視線が止まった。
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