我妻教育2
「仕事はどうだ?

生前の光寿殿から聞いていたのだが、料理の方面に進んだようだな」


「えっ!おじいちゃんと連絡取り合ってたの?」

びっくりして聞き返すと、啓志郎くんはさらっとうなずいた。

「ああ。世話になった御方であるゆえ、個人的に節々の挨拶程度のやり取りはさせて頂いていた」


「そうなんだ。知らなかった。おじいちゃんそんなこと一言も言わなかったのに…」

「未礼が就職したことも、光寿氏から聞いたのだ」

「そっか~」


すごいな。あたしは、啓志郎くんのご家族にはあれ以来何もしてなかったのに…。

恥ずかしくなった。

破談にしておいて、連絡するなんて、おこがましいんじゃないかって。

なんて言い訳だよね。

すごいな。やっぱり啓志郎くんて。
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