我妻教育2
「あたしね、啓志郎くんにお礼が言いたかったんだ」


「礼?私に?」


「うん。啓志郎くんがあたしの料理、誉めてくれたでしょう?だから、料理の方に進もうって思ったんだ。

今の仕事についたのは、啓志郎くんのおかげなんだよ」


料理は、あたしが唯一、人に誉めてもらえること。

料理に関わる仕事しかないかなって漠然と思って、管理栄養士の勉強ができる学部を選んで大学に進学した。


大学に入ってすぐ、レストランの厨房のアルバイトを始めた。


小さな個人経営のフレンチレストランだったから、あたしもメニュー作りに参加させてもらってた。

それがすごく楽しかった。
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