我妻教育2
大学3年のとき、そのバイト先のシェフの薦めで、料理雑誌の企画の創作レシピ選手権に応募した。

そしたら、審査員特別賞を貰って、やりたいことが見えた気がした。

創り出す側の人間になりたい。


大学3年の終わり頃、知り合いに紹介してもらったマダムの事務所にバイトで入って、今に至る。


「まだまだ駆け出しで、忙しいけど、楽しいよ」

ニッと笑って見せたら、

「そうか。良かったではないか」

啓志郎くんもフッと微笑んだ。


そうそう、その控えめな笑い方。

人の話を真っ直ぐ聞いてくれるところ。

そうそう、啓志郎くんは、こんな子だった。

何だかうれしくなった。
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